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初春をパリで迎えて 2012年1月 発売

Profile : the Letters

明けましておめでとうございます。

皆様方の2012年が、さらに一層輝く年となられる事を祈っております。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

前回の年末年始は日本に居りましたが、今年はパリで新年を迎えました。暮れから毎日、しとしと梅雨のような雨。1週間は降り続くという予報は幸い当たらず、1月2日になって、やっと太陽が薄ぼんやりとした姿を見せたと思いきや夕方から又降り出し、3日は強風を伴って横殴りの雨が叩き付ける嵐のような天気。ユーロ不安や大統領選挙を控えた波乱含みの年明けにふさわしい序曲となりました。120年ぶり、19世紀以来という暖冬で、13~14℃は10月中旬の気温。その為か、大晦日には雨の中を、シャンゼリゼに30万人の人出だったそうです。

東京から戻って直ぐ、クリスマス前後の数日間は、スイスの家族と過ごしました。ジュネーヴは平年並みの3~4℃。快晴に恵まれ、ローザンヌまでスイスの両親の墓参にドライヴした時には、車の右側で道沿いのレマン湖に伸しかかるようにそそり立つアルプスの峰々と、左側に丸い曲線を描いて連なるジュラの山並みが、透明な青い空をバックに新雪の煌めきを競い合っていました。地中海性気候が遡上するローヌの谷のこの眺望は、40年前ジュネーヴ空港に降り立ってヨーロッパの地に第一歩を踏み出した直後、初めて目にした景観だったのです。以来、何百回と通い慣れた道を久しぶりに走ると、過ぎ去った時への思いが走馬灯のように浮かびます。自然と人間の営みが、地球的規模でエキセントリックな動きをとみに増してきた40年の間に自分は何をしたのだろうかと問い、こうしている瞬間にも、我が地球を含めた広大な宇宙には誕生する星もあれば、消滅していく星もあるのだと思いました。

2月のコンサートのお知らせを同封いたします。東京シティ・フィル定期演奏会に出演するフランス人ピアニストのフランク・ブラレイは、日仏両国で何度も協演した旧知の仲間。今回はフランスもの以外を一緒にやろうと話し合い、ガーシュウィンを取り上げました。重要なピアノ・パートをオーケストラの中に入って弾く ”ペトルーシュカ” は彼にとって初挑戦。来週パリで2人だけのリハーサルが出来るのも、オレ・オマエの tutoyer で通じる相棒どうしの間柄だからです。

親しい友人たちに支えられて家内が室内楽を弾く板室温泉は那珂川沿いの鄙びたロケーションで湯質は抜群。館内や庭に現代美術が数多く展示され、毎月26日に演奏会を催す大国屋は450年の歴史を誇る老舗で、そのキャッチフレーズも “Art in a cozy place” です。

オペラシティコンサートホールや大黒屋で、皆様方とお目にかかれれば幸甚に存じます。

パリにて、2012年1月

矢崎 彦太郎

(大黒屋コンサートの詳細は http://www.ses-amis.net/cms/news/717 に掲載してあります)

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